里山に輝く紫の実り ーコムラサキー
2025年10月9日 10時38分朝の通勤途中、例の如く脇道にそれ、阿南高校近くの里山に足を踏み入れると、紫色の小さな実がびっしりと枝に連なる木に出会いました。
かつて畑か棚田だったかもしれない道路脇、今は荒れ果て草木が生い茂っていますが、その中に静かに佇むコムラサキ(ムラサキシキブの仲間)を見つけました。秋の里山に咲く宝石のようです。
写真の植物は、平安の才女・紫式部にちなんだムラサキシキブの仲間で、実の密集具合や葉のギザギザ(鋸歯)からコムラサキかと思われます。
特徴 | コムラサキ | ムラサキシキブ |
実のつき方 | びっしり | まばら |
葉のギザギザ(鋸歯) | 葉の上半分に鋸歯 | 葉の全体に鋸歯 |
コムラサキ・ムラサキシキブはシソ科の落葉低木で、春から夏にかけて淡紫色の小花を葉陰にひっそりと咲かせ、秋には鮮やかな果実を実らせます。花は控えめながら、秋の実りはご覧のとおりとても見事で、鳥たちの貴重な食料にもなるようです。学名「Callicarpa」はラテン語で「美しい果実」を意味し、花言葉には「上品」「聡明」といった言葉だそうです。
紫は古来より高貴さや知性の象徴とされ、日本文化の中でも特別な色です。人目につかない場所で静かに輝くこの実は、日々の地味な努力が、やがて、美しく豊かな実りとなることを教えてくれるようです。
昨日は日中は30度近く気温も上がり、まだ夏の名残が居残る今年の10月。それでも風に乗ってキンモクセイ(金木犀)の甘い香りが漂い、南信州 阿南にも間違いなく秋の気配を感る今日この頃です。季節は深まりつつあります。里山の彩りとともに、心豊かな秋を過ごせればと感じています。