阿南の秋の草花「ツリフネソウ(釣船草)」
2023年9月6日 13時18分横から見ると、(花弁と萼片が複雑に組み合わさった)花の袋状の部分が船のように見え、茎からつり下がって見えることから「ツリフネソウ(釣船草)」と呼ばれています。花の色はご覧の通り赤紫色で、近縁種の黄色の花を咲かせる「キツルフネ」に対し、ムラサキツリフネと呼ぶ場合もあります。林や森の中の湿地や小川の縁のかなり湿ったところで見かけます。今回の写真は阿南町古城(R151号線沿い)で見かけました。
花の長さは3〜4cmほどで、後方の「距(きょ)」と呼ばれる部分はクルリと巻いていて、とても愛らしいです。中には蜜があり、マルハナバチなどの昆虫が蜜を吸ってますが、ツリフネソウ全体に(人には)毒性があるため、蜜は吸わない方がいいようです。
ツリフネソウ、キツリフネは同じツリフネソウ科で、園芸種のホウセンカやインパチェスも同じ科です。ホウセンカの種、皆さんも経験があるかと思いますが、花の後実ができ、その実を摘もうとすると“パチッ”と種が勢よく弾き飛びますね。少しでも遠くへ種を飛ばして子孫を広げるための戦略で、ツリフネソウも小さな実ながら種が弾き飛びます。
また、生物実験「花粉管の成長」でよくホウセンカやインパチェスの花粉を使うのですが、以前阿南高校で、ツリフネソウを使って観察したこともありました。
近くの根羽村茶臼山に自生している「エンシュウツリフネソウ(遠州釣船草)」が、8月29日付けの信濃毎日新聞に記載されてます。ツリフネソウに比べ、花も植物全体も小型で、花の色は薄紫色。花は葉の下に隠れるように咲くため、しゃがんで探さないと見つけられません。見頃は9月上旬までとの事ですので、行かれない方は下記より秋の訪れを感じてください。
信濃毎日新聞デジタル「エンシュウツリフネソウ(遠州釣船草)」(動画あり)