年度末の慌ただしさもあり、少し日が経ってしまいましたが、私にとって特別な一日となった「最後の講話」をお届けします。生徒のみなさんの一年間の成長を思い返しながら、締めくくりの言葉を伝えました。
生徒に寄り添い、行事を支え、部活動や生徒会活動を導き、学校を守り、学びの場を豊かにしてくださった先生方に、あらためて深く感謝申し上げます。本校でのご尽力が、次の場所でも必ず大きな力となることを願っています。
【令和7年度修了式 講話全文】
みなさん。令和六年度の締めくくりとなる修了式を迎えました。
この一年、みなさんは学習に、部活動に、学校行事に、それぞれの場所で本当によく努力してくれました。
四月に比べて、みなさんの表情は確かに変わっています。
自信が生まれ、仲間とのつながりが深まり、阿南高校の生徒としての姿が、しっかりと形になってきました。その成長を、私は何より嬉しく思っています。
一方で、世界に目を向けると、戦争や衝突が続き、不安定な状況が広がっています。
遠い国の出来事のように見えても、私たちの生活にも影響が及んでいます。
戦争や対立は、当事国だけでなく、世界中の人々の暮らしに波のように広がっていきます。
だからこそ、互いを尊重し、平和を願う心を持つことの大切さを、年度の終わりにあらためて感じています。
今日が、私にとって最後の講話となりました。
私は平成元年に教員になり、今年で 37年目 の節目を迎えました。その中で、阿南高校には教諭として6年間、そして令和5年度からの3年間は校長として、合わせて 9年間 勤めてきました。
37年という長い教員生活の中で、たくさんの学校で、たくさんの校歌に触れてきました。
しかし——
最も心に残り、最も好きになった校歌が、この阿南高校の校歌です。
だからこそ、最後の講話として、どうしてもこの校歌のことをみなさんに伝えたいと思いました。
阿南高校校歌をつくった二人の巨匠
この校歌は、作詞が 土岐善麿(とき ぜんまろ)先生、作曲が 信時潔(のぶとき きよし)先生 によるものです。
土岐善麿先生は、若山牧水や北原白秋と並ぶ歌人であり、石川啄木の才能を世に広めた人物です。また、国語審議会の会長として、日本語の近代化を進めた国語学者でもあります。
信時潔先生は、東京音楽学校(今の東京藝大)の教授で、日本の合唱音楽の礎を築いた作曲家です。
この二人が手を組んで校歌をつくった学校は、全国でも多くありません。阿南高校の校歌は、全国的に見ても非常に格の高い校歌なのです。
校歌が描く世界 一番の歌詞に描かれた阿南の自然
峰から峰へたなびく雲、谷を流れる水、晴れ渡る空、静かに輝く水面。阿南の自然の情景が、丁寧に描かれています。
そしてその締めくくりが、「学べば自由の 天地開けて」という言葉です。学ぶことで、世界が広がる。学ぶことで、自分が自由になる。
阿南高校の校歌は、開校のときからずっと、そのことをみなさんに伝え続けてきました。
二番が語る、希望と未来
二番では、桜や椿、芭蕉や棕櫚、豊かな稲穂に囲まれた白亜の校舎が歌われます。そして続くのが、「あふるる希望よ 常に新たに 明日の使命と 世界あり」という言葉です。
希望は、常に新しく湧いてくる。その先には、世界がある。
この校歌は、みなさんに「世界へ向かう使命」があることを、ずっと歌い続けてきたのです。
阿南の自然の豊かさ、学ぶことの自由、未来への希望、そして阿南高校の名を背負う誇りが込められています。
この校歌を、どうか誇りにしてください。そして、これから先、嬉しいときも、迷うときも、どうかこの校歌を思い出してください。きっとこの校歌は、みなさんの人生を支えてくれるはずです。
私自身も、この校歌を、阿南高校での9年間を誇りに思っています。
みなさんの新年度での活躍を願って、令和7年度の修了式の講話とします。
ありがとうございました。